【日経バイオテクONLINE 掲載記事】
新春展望2012、今年は成長性確保の年に

2011年はシンバイオにとって大きな飛躍の年となりました。創業以来開発をしてきた「トレアキシン」が発売後(2010年12月発売)、約1年間で再発・難治性非ホジキンリンパ腫、再発・難治性マントル細胞リンパ腫の2400人を超す患者さんが治療を受けられ、この新薬の恩恵を受けられました。発売後12ヵ月間で患者さんのシェアでいうと50%を超すところまできたことは、まさにこの治療領域が空白化していたことを物語っています。

この病気を患う患者さんは新薬の開発を切望しているわけであり、その期待に応えてシンバイオの企業使命である「共創・共生」を果たすことができ大変うれしく思います。また、シンバイオの更なる成長を促すための新薬Rigosertib(リゴサチブ)を導入しました。Rigosertibはトレアキシンと同様に空白の治療領域を埋めるための新薬であり、再発・難治性骨髄異形成症候群を対象として臨床試験開始に向けての準備が着々と進められています。

また、多くの皆様のご支援とご協力のおかげをもちまして、10月にはジャスダック(グロース)に上場を果たすことができ、今後の成長性確保のための事業運営に必要とされる資金を確保できました。新薬の承認・発売に加え、創業以来の経営努力が実を結びつつあり、経営の質の面でも一定の評価を頂くことができたわけであり、製薬企業としてスタートラインに立つことができたと考えています。

2012年は、まさに成長性確保に向けての第一歩を踏み出すことになります。開発業務はより一層活発化し、再発・難治性中高悪性度非ホジキンリンパ腫の承認申請という大きなマイルストーンがあり、このほか4本の臨床試験第二相試験及び2本の臨床試験第一相試験を実施する予定であり、成長性の確保に向けてエンジンが始動することになります。また、業務提携先であるエーザイを通じて、トレアキシンについての有益な情報を提供していくことで、より多くの患者さんに使われるよう医療機関への情報提供を徹底してまいります。

日本の政治、経済、医薬品産業、いずれも大きな転換期を迎えたように思います。この大きな変化は、我々に多くの難題とチャンスを投げかけるでしょう。むしろ、変化はチャンスとポジティブに受け止め、各々の立ち位置を自覚し社会のニーズに応えるべく、与えられた使命を果たすことの努力の中に光を見出すことができるのではないでしょうか。

これからも、シンバイオは「患者さんは待っている」を掛け声に、全社一丸となり一日も早く新薬を開発し提供することにより空白の治療領域のための新薬の開発を推し進め、患者さんに希望をお届していきたいと考えています。

シンバイオ製薬株式会社
代表取締役 吉田文紀

※ 出典「2012年1月2日 日経バイオテクONLINE 新春展望2012」
URL: https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111231/158835/