CSRの取り組み
社長対談

第2回

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第2回 世界のバイオベンチャーとのコラボレーションで夢のある社会貢献にチャレンジ(エッセイスト:岸本葉子さん) プロフィールはこちら
外国では使われているいい薬が日本では使えない
吉田
岸本さんが、がんと診断されたときと、治療を経た現在の状況は変わりましたか。
岸本
まず、私自身のイメージが大きく変わりました。
私は、お腹の痛みが何回かあって入院しました。
でも、その痛みの原因ががんであるとは先生方も結びつかず、
とにかく開腹してみましょうということで手術をしました。
すると虫垂がんが虫垂炎を起こしており、その痛みだったことがわかったのです。
一般的にがんは、よほど進行しないと自覚症状がありません。
私の場合は虫垂炎の痛みでがんが見つかりましたが、
それがなければさらに進行していたと思われます。
吉田
お腹の痛みがあって幸いでしたね。
岸本
私ががんだとわかった2001年ころは、がんはまだ死に近い病気と思われていました。
自分が治療を始めるまでは、こんなに長期にわたって向き合う病気だと思いませんでした。
吉田
最近では深刻度が和らきつつあるとは言うものの、
がんが命に係る病気であることには変わりありません。
岸本
そうですね。国民の2人に1人が罹患するという意味ではよくある病気ですが、
罹患した人の2人に1人近くが亡くなるので、ほかの病気よりも
死を連想させる病気ではあります。
ただ、がんを取り巻く環境は大きく変わり、患者が得られる情報も以前と比較にならないほど多くなっています。
吉田
確かに一般の方でもインターネットなどで調べて、
私たち以上に病気のことをご存じの方も多くなっています。
インターネットの情報量はすごいですね。
私たちが、非ホジキンリンパ腫とマントル細胞リンパ腫の抗がん剤として発売した
抗がん剤は、再発した難治性の患者さんのために承認を取ったものですが、
欧米では既に標準療法として使われている初回の患者さんための承認についても
1日も早く取れるよう日本でも既に臨床試験を開始し
私たちも日々努力をしているところです。
岸本
欧米で使われて効果が認められている薬が
日本では使えないのは、もどかしいですね。
吉田
そうですね。
そのような新薬の使用を願う患者さんの切実な思いと緊迫感が伝わり、
ここにきて行政もドラッグラグの短縮に向けた動きをしています。
私たちがよく存じあげている先生方も、未承認薬のドラッグラグ解消のための
委員会を通してさまざまな努力をされています。
しかし、患者さんからすると時間との競争になりますから、
いますぐこの薬で治療を受けたい、初回から使ってほしいという切なる思いがあります。
現実には、セカンドラインしか承認が取れていないので、
手が届くのにそれを使えない。医療現場は、いまそういう状況に遭遇しています。